過去18か月、暗号資産市場で高リターンを得るための方程式は明確でした。ひとつはETPへの資金流入、もうひとつは企業財務による大規模な購入。この2つを組み合わせれば、大きなリターンが見込めます。
Bitcoinはこの方程式通り、2024年1月の40,000ドルから現在は112,000ドルまで上昇しました。Ethereumも2025年4月に同じ流れに乗り、価格は3倍となり4,500ドルを突破しています。
この方程式が機能するのは当然です。経済の基本である「需給」が働いているからです。
需要が供給を上回ると、通常は価格が上昇します。
Solanaは、この流れに乗るための条件が揃っています。
Bitwise、Grayscale、VanEck、Franklin Templeton、Fidelity、Invesco/Galaxy、Canary Capitalなど複数の発行会社が、Solana現物ETPの上場を申請しています。SEC(米証券取引委員会)はこれらの申請について2025年10月10日までに判断を下す予定で、第4四半期には複数社によるSolana現物ETPが登場する可能性が高い状況です¹。
一方、直近の週末にはGalaxy Digital、Jump Crypto、Multicoin Capitalの3社が、Solanaを中心とした上場財務会社Forward Industriesへ現金とステーブルコイン計16億5,000万ドルの出資をコミットしました。取引完了後、同社はSOLの購入やステーキングを開始し、超過リターンの創出を目指します²。
さらに、Forward Industriesの会長にはMulticoin Capital共同創業者のKyle Samani氏が就任しました。MulticoinはSolana初期投資家のひとつであり、Samani氏はSolanaの熱心かつ戦略的な推進者として知られています。(Multicoinによる最新のSolana論はこちら。)BitcoinではStrategy社会長のMichael Saylor氏、EthereumではBitMine会長のTom Lee氏がそれぞれ普及活動の中心を担ってきました。Samani氏がCNBCやBloomberg、Fox BusinessでSolanaの魅力を発信すれば、投資家需要の好循環(フライホイール)がさらに加速すると期待できます。
もちろん、ETPや財務会社があるだけでは投資家の資金を集められません。投資家を惹きつける本質的な理由が不可欠です。例えば、Ethereum ETFは2024年6月に承認されたものの、Ethereum自体が注目されたのは2025年4月、ステーブルコイン人気が高まり、Ethereumがそのプラットフォームとして再評価されたタイミングでした。
では、Solanaの強みは何でしょうか?
SolanaはEthereumの競合であり、ステーブルコイン、トークン化資産、分散型金融アプリケーション(DeFi)などを展開できるプログラマブルブロックチェーンです。最大の特徴は、Ethereumよりはるかに多くのトランザクションを毎秒処理できる高速性と、1件あたり0.01ドル未満という圧倒的な低コスト、加えて急速な決済ファイナリティです。実際、最近実装が承認された技術アップグレードにより、トランザクションのファイナリティが約12秒から150ミリ秒と劇的に短縮されます。このアップグレードが稼働すれば、Solanaは世界最速級のブロックチェーンとなります。
SolanaはEthereumとは異なる技術設計で、Layer 2ネットワークに依存しません。そのため、利用者にとってもシンプルな仕組みとなっています。
一方、「中央集権性や脆弱性が高い」という構造的なトレードオフに関して批判もあります。
しかし、Solanaは多くの利用者を獲得しています。ステーブルコイン流動性ではEthereum、Tronに次ぐ3位、トークン化資産では4位となっており、成長も著しい状況です。トークン化資産の運用残高(AUM)は今年だけで140%増加しています。支持者は「Solanaだけがグローバル規模で主要資産のトークン化を支えうる唯一の高速ブロックチェーン」だと主張しています。
Bitcoin、Ethereum、Solanaを比較した際に強調すべき点がひとつあります。それはSolanaが相対的に小規模なブロックチェーンであることです。
2024年9月7日時点で、Bitcoinの時価総額は2兆2,200億ドル、Ethereumは5,190億ドル、Solanaは1,160億ドルです。つまりSolanaはBitcoinの1/20、Ethereumの1/4未満という規模です。
この規模感から、Solanaへの資金流入が少額でも価格変動に大きな影響を与えます。例えば、Forward Industriesの16億ドル規模のSolana購入は、Bitcoin換算で330億ドル相当のインパクトに匹敵します。ただし、Solanaは年間インフレ率が約4.3%と、Bitcoinの0.8%、Ethereumの0.5%前後よりも高い点が価格面の一部調整要因となります。
それでもなお、投資環境として魅力的です。私からの提案は、今後数か月間、Solanaの動向にぜひ注目しておくべきだということです。
(1)今年初めに上場した「Rex-Osprey Staked Solana ETF(SSK)」も存在し、運用資産は2億2,000万ドル規模ですが、このファンドは伝統的な現物型暗号資産ETPとは異なる構造を採用しています。
(2)SOL Strategiesなど、規模は小さいもののSolana財務会社も存在しており、約1億ドル相当のSOLを保有しています。
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