
(出典:HMRCgovuk)
英国税務当局(HMRC)は、DeFi取引における暗号資産の課税方法を見直す政策案を公表しました。中心となるのは「ノーゲイン・ノーロス(No Gain, No Loss、NGNL)」フレームワークの導入で、レンディングや流動性提供といった活動が課税上の譲渡に該当するかどうかの基準が再定義されます。
現行制度では、暗号資産をDeFiプロトコルへ預け入れるだけでも、レンディングや利回り獲得目的の場合に譲渡とみなされ、譲渡益課税が発生します。新たな提案では、課税を繰り延べ、実際に資産を売却した場合や、実質的な経済的利益または損失が生じた場合のみ課税義務が発生する仕組みを目指しています。
この提案が採用されれば、DeFiユーザーは下記の場合に即時課税を回避できます。
NGNLモデルでは、実際の損益のみが報告対象となります。元本より多くのトークンを引き出した場合はその差額が利益、少なければ損失として扱われます。
この提案は、従来のルールによる過剰な事務負担や不合理な課税を解消し、DeFi活動の経済実態に即した税制運用を目指すものです。HMRCはまた、複数トークンの組み合わせや分散型プロトコル特有の構造など、より複雑なプロトコルにも新方針を適用する方針を示しています。
これまでにAave、Binance、Deloitte、CryptoUKなどから32件の正式な意見がHMRCに寄せられており、多くがNGNLアプローチを支持しています。現行制度では不要な譲渡取引が多発し、特に一般ユーザーにとって事務負担が過大であること、また一部の代替案は税務報告をさらに複雑化させる可能性が指摘されています。
NGNLの導入で一部の負担は軽減されるものの、英国のDeFi課税環境には依然として課題が残ります。たとえば、
これらの取引も引き続き課税対象となります。
さらに英国政府は、トークン化された現実資産(RWA)や伝統的な証券を除外し、標準的なDeFiトークンのみに対象を限定することで、金融規制との重複を回避する方針です。NGNLフレームワーク下でもDeFiユーザーは多くの取引記録を管理する必要があり、HMRCは報告負担軽減のためソフトウェア事業者と連携する考えを示しています。
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英国政府はまだ法制化のタイムラインを明示していませんが、業界関係者や税務専門家、プロトコル開発者と連携し、ルール実装の精度向上に継続的に取り組むとしています。NGNLが法律となれば、英国のDeFi課税体制はより透明性と柔軟性を持ち、ユーザーと事業者の双方に大きなメリットをもたらすでしょう。





