暗号資産の分野では、LTV(Loan-to-Value、ローン・トゥ・バリュー)はDeFiレンディング、担保型借入、レバレッジ戦略などで頻繁に使用される重要なリスク管理指標です。初心者には難解に感じられるかもしれませんが、LTVはデジタル資産市場で基礎となる概念です。本記事では、暗号資産におけるLTVの意味、計算方法、そして伴うリスクについてわかりやすく解説します。
LTVはLoan-to-Valueの略称です。従来の金融分野では、ローン額が担保資産価値に対してどれほどの割合かを示します。暗号資産でも同様に、BTC、ETH、USDCなどのデジタル資産を担保として預け、プラットフォームから別の資産を借り入れる仕組みです。
一般的にプラットフォームは最大LTVを設定しており、50%、60%、75%などが基準です。例えば、1,000ドル相当の暗号資産を担保に差し入れる場合、500ドルから750ドルまで借入が可能です。
計算式は「LTV = ローン額 ÷ 担保の市場価値 × 100%」です。
例えば、ETHを1,000ドル分担保にして400ドル借りると、LTVは40%です。LTVが高いほど、担保価値に対する借入額の比率が大きくなり、リスクが増大します。
各DeFiレンディングプラットフォームでは、資産ごとに最大LTVが異なります。値動きが激しいトークン(小型銘柄など)はLTV上限が低めに設定され、BTCやETHなど主要資産やステーブルコインは高い上限が設定される傾向です。
さらに、プラットフォームでは次の2つの重要な基準値が設けられています:
自動清算を防ぐためには、LTVを安全な範囲内で維持することが不可欠です。
最近のボラティリティによって、LTVが暗号資産分野で極めて重要なリスク要素であることが浮き彫りとなりました。2025年10月の暴落では、高LTVローンを持つ多くのユーザーが、価格急落により大量に清算され、数十億ドル規模の資産が失われました。
一部のDeFiプロジェクトでは、ステーブルコインを担保にしてさらに借入を行い、それを再び担保として活用する「再帰的借入(Recursive borrowing)」も可能です。担保価格が下落すれば、リスクが一気に拡大します。
一方、LTV Protocol(LTVプロトコル)のような新興プロジェクトは、より高度かつ自動化されたLTV管理戦略を模索しており、収益性とリスクのバランスを重視する傾向が強まっています。LTV管理の重要性が今後さらに高まると考えられます。
暗号資産初心者は、以下の点に留意しましょう:
暗号資産で長期的に成果を上げるには、LTVの理解と管理が不可欠です。慎重なレバレッジ運用と効果的な担保管理で、市場の急変時にも資産を守ることができます。