市場は常に物語を語っている。ただし今回は、金とビットコインが語る物語の方向性が完全に逆になっている。

昨日、金は再び史上最高値を更新し、4500ドル/オンスを突破した。年間の上昇幅は70％を超える。銀はさらに異常で、72ドルの水準に到達し、年内の上昇率は直接120％を超えた。ところが、「デジタルゴールド」と称されたビットコインはどうだろう？10月の高値126,251ドルから一気に87,000ドルまで下落し、年内のすべての上昇分が完全に消し飛ばされた。

デジタル資産界隈で数年活動してきた観察者として、今日は皆さんとこの背後にある、多くの人が理解できていない事柄について語りたい。

**中央銀行が静かにゲームのルールを変えている**

表面上、金の暴騰理由は非常に陳腐だ：地政学的緊張、米連邦準備制度の利下げの可能性。しかし、これだけだと本当に全てだと思うのは浅はかだ。

重要なのはここだ——各国の中央銀行が前例のない金の買い漁りを進めていることだ。世界黄金協会のデータはそこに示されているが、これは何を反映しているのか？それはドルの信用と米国の主権債務に対する深層の不安だ。特に新興市場の中央銀行の動きが最も活発で、要するに実際の行動をもって投票している。ドルへの信頼が揺らぎ始めていることを示している。

**金利低下が資産配分の論理を変えた**

米連邦準備制度が来年2回の利下げを行うとの市場のコンセンサスは非常に高い。金利が下がると、債券のような現金資産の利回りは圧縮され、見た目の魅力が薄れる。一方、実物資産である金の魅力は高まる。

これは単なる経済学の話だけではなく、資産クラス全体の配置構造の根本的な変化を意味している。